床上小哲学|Vol.11〜20 - 静けさのなかにある日常
床上小哲学|The Floor Notes Vol.11〜20
Vol.11|朝の気配に、沈む。
カーテンを開ける前、部屋の明るさで今日の気持ちが決まる気がした。
ローソファの上で、もう少しだけ余白に沈む。
外に出る前に、心の温度を整える時間。
Vol.12|“考える”じゃなく、“思っていた”。
床に座ると、不思議と過去のことを“考える”というより、
“思い出していた”という感じになる。
あの時の後悔も、嬉しかった気持ちも、
全部“そのまま”の形で、浮かび上がってくる。
Vol.13|今日は、自分にやさしくする日。
やるべきことは、たくさんある。
でも今日は、“やらなくてもいい日”にする。
床に座って、お気に入りの音楽をかけて、ただ深呼吸。
それだけで、体が整っていく気がした。
Vol.14|この部屋は、わたしの輪郭を知っている。
家具の配置、光の入り方、ラグの質感。
どれも“わたし”の延長みたいで、
この部屋に座っていると、
自分の“かたち”を忘れずにいられる気がする。
Vol.15|正しさより、まっすぐな姿勢。
誰かの正解に近づこうとして、ちょっと無理していたかもしれない。
でも、床に近づくと、自然と背筋が整った。
“まっすぐ”って、誰かのためじゃなく、自分のためにあるんだ。
Vol.16|余白という安心。
やることがない時間が、不安だった頃もある。
でも今は、やることがないことに、安心する日もある。
ローソファに沈みながら、
“何もしない”が、今日いちばんの選択だった。
Vol.17|視界の低さが、気持ちをほどく。
床に座ると、世界が違って見える。
目に入るのは天井よりも、ラグやコーヒーカップの影。
高く飛ばなくてもいいって思える視界。
Vol.18|「ちゃんとしなきゃ」から自由になる。
何もしない時間が、何よりも“ちゃんとしてる”気がした。
床とソファと、ぬるい午後。
誰に見せなくても、ここでは自分を取り戻せる。
Vol.19|小さな音に、救われる日。
カップを置く音、遠くの車の音、
猫がラグの上を歩く音。
床に近い暮らしは、
“音”が心を落ち着けてくれることを思い出させてくれる。
Vol.20|「ただいま」を自分に言う日。
外ではがんばった。人にも気をつかった。
でも今、床に座った瞬間に、
「ただいま」って自分に言いたくなった。
帰ってくる場所があるって、やっぱり強い。